食品開発においてテーブルテストとは、研究室や開発用キッチン等での試作作成のことを指します。大まかな配合のチェックや官能評価、材料ごとの歩留確認を行います。
今まで計画段階だった商品設計を初めて形にする最初の一歩の工程です。
商品の基本設計を固めて、次のラインテストに以降する前の段階であり、商品の出来栄えや実際の製造工程に大きく影響を与えます。
食品メーカーにOEM(委託製造)を依頼する際に意見のすり合わせをする重要な機会であり、今後のスケジュールを踏まえてしっかりと商品スペックのすり合わせをしましょう。
5秒で理解するテーブルテストとは

テーブルテストとは、食品メーカーの商品開発部門が行う試作作成のことを指します。原材料の歩留やいただいたレシピに応じて実際に作って見て製造工程の落とし込みの検討やコントロール品(見本の商品)があれば味を寄せるなどの対応を行います。
食品開発の流れは大まかにこのように進みます。
- コントロールやベンチマークの確認、製品コンセプトのすり合わせ
- レシピ設計、製造工程の作成(各社フォーマットでの落とし込み)
- テーブルテスト(研究室・開発キッチンでの製造)
- 試作品評価(加熱・保存状況の確認、官能評価)
- 依頼先、社内フィードバックの反映
- 再試作、製造工程の修正
- 仮見積の作成
- 工場ラインでのテスト、見積確定
- 仕様書の確定、本製造
実際にレシピ通り作成してみると、狙った食感や味わい・色味と異なったり、冷凍して加熱する際に想定した時間では中心温度が上がり切らないなどの些細な違いが生じます。
食品工場に製造依頼する際は必ず、試食するように心がけましょう。
※食品OEMの依頼を検討されている方はこちらの記事を参照してください。
テーブルテストを行う3つの目的
製造ラインに落とし込む前にテーブルテストを行う理由は大きく分けての三つです。
レシピ(配合)の検討と確立
使用する調味料や食材によって些細な違いでも、積み重なると大きな違和感が発生します。机上論だけではなく、実際に製造ラインで使用する原材料を使い食感や味の予想を立てておくことで、大きなブレを抑制します。
また温度変更による歩留や物性の経過観測もこの時点で行う必要があります。ラインを止める必要が無いものはここで確かめます。
試作品の官能評価(五感による計測)
開発担当者ベースではOKが出ていても、社内外に確認を回すと様々な意見が飛び交います。全てを反映することは難しいですが納得感のある製品を作ることはとても重要です。最終消費者の商品の満足感に直結するため、スケジュールが許す限り調整しましょう。
原価計算や規格書の収集
予定歩留の作成や原材料原価の計算を行います。また食品表示の元になる根拠書類の確認をします。目標の栄養価や食品表示のベースや製造工程をある程度まとめて概算の作成をします。
テーブルテストとラインテストの違い
テーブルテストではとても美味しい試作品が出来上がったとしても、そのまま工場の機械製造や大量調理の工程に落とし込む際にうまく上手く行くとは限りません。
工数が多く現場で再現できなかったり、思いの外時間がかかってしまったりとイレギュラーなイベントが発生します。
テーブルテストとラインテストの対比
| 比較項目 | テーブルテスト | ラインテスト |
|---|---|---|
| 実施場所 | 開発用キッチン、研究室 | 製造工場の実生産ライン |
| 製造量 | 数百g 〜 数kg(小ロット) | 数百kg〜数t(中・大ロット) |
| 使用設備 | 小型業務用機器、キッチン用具 | 現場の大型調理業機材 |
| 目的 | レシピの確立、味・コンセプトの方向性決定 | 量産時における品質の再現確認、機械適性の検証 |
| 所要期間 | 数日 〜 数週間 | 工場の稼働日による(1ヶ月程度) |
| コスト | 低(原材料費と開発者の稼働費のみ) | 高(工場ライン停止コスト、多量の原材料、現場人件費) |
| 評価項目 | 官能評価、簡易的な物性の確認(塩分、糖度) | 規格検査(一般生菌数、水分活性、保存試験、栄養成分分析) |
なぜスケールアップで品質が変わるの?
向こうもプロなのである程度スケールアップしてからの誤差が少ないように調整をしますが。量が大きくなることで寸分違わず同じ品質になることは少ないです。
主に変化が大きいポイントは下記の4つです。
- 伝熱の違い :スケールの違いによって加熱時間の調整が必要になります。
- 蒸発量の変化:テーブルテストと設置面積が異なり、水分量が異なることがあります。
- 撹拌剪断(せんだん)力の差 :ミキサーや攪拌機のパワーが異なり、食感が変化することがあります。
- 冷却速度の差:商品の冷却までに時間がかかり、ばらつく可能性があります。
カテゴリ別・テーブルテスト所要期間の目安
メーカーやジャンル、情報の粒度により、テーブルテストにかかる期間は異なります。目安としては下記の通りです。
- 冷凍食品(所要期間:2〜4週間) 冷凍・解凍試験、さらには家庭での電子レンジや湯煎での再加熱テストを何度も繰り返すため、一定の物性を確保するまで時間がかかります。
- レトルト食品(所要期間:3〜6週間) パウチを120℃以上で加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)するため、熱による風味劣化(レトルト臭)や変色、死滅しない常在菌の確認のために二週間程度常温で保管し、細菌検査・物性のテストをします。
- チルド・フローズンチルド(所要期間:4〜8週間) 日持ちが短いため開発スピードが求められますが、チルド保存中(10℃以下)に時間が経つと水分が浮き出てくる「離水現象」やpHの調整や日持ち検証します。
※フローズンチルド:店頭に並ぶ際に冷凍から冷蔵に温度変更をする商品を指す。
食品OEMの開発期間を短縮するコツ(chips)
- 商品のコンセプトシートとアイテム数、レシピや条件を事前に準備する
- 発注ロットと発売予定時期を事前に伝える。仕入原価を高めに設定しておく。
- 社内で味の方向性やターゲット像を統一しておく
開発期間が長くなると物価上昇によって人件費・包装資材や原料価格が上昇します。開発構想段階に設定したマーケット価格から逆算では、バッファーが足りないケースがほとんどです。結果として原材料原価に大きな制約が設けられ、顧客満足度が低下して結果リピートがつかない商品が出来上がってしまうので、ある程度余裕を持ちましょう。
また開発に時間がかかる大きな要因として、社内の意見がまとまらないケースが挙げられます。味覚は好みであり、人によって意見が異なります。誰がターゲットで味の方向性を定めてから試食してもらいましょう。
テーブルテストの具体的な進め方【5ステップ】
テーブルテストをスムーズに進めるための基本的な流れは以下の5つのステップです。
- 商品コンセプトのすり合わせとコントロール品・ベンチマークの確認
- 配合・原材料の選定、規格書のチェック
- 製造工程の作成、テーブルテスト、コントロールの保存
- 官能評価・物性測定(塩分、糖度、安全性の確認)
- レシピ修正と再試作(完成まで繰り返す)
テーブルテストはこの工程を次の工程まで繰り返します。商品コンセプト(ターゲットは誰か、目標価格いくらか、競合確認)のすり合わせを実施します。ペルソナに落とし込んだ形式で共有する形になります。
2.の工程では、食品表示法に基づく根拠書類の収集と商品コンセプトに基づく原料選定が行われます。3〜5.は実際に作って見て認識のブレを修正する作業です。
テーブルテストでよくある失敗事例
- リテイクの回数が多く開発期間が伸びる:意見をうまく取りまとめられず、ズルズルと伸びてしまうことがあります。どうすることもできない場面が多いですが、上手に調整しましょう。
- 工程が複雑で原価が高くなる:工数が増える事に原価が上がります。リテイクを出す際は、工数が増えないか確認してから依頼をかけましょう。
- 栄養価を設定を伝え忘れていた:レシピの構成から作り直しになるので必ず事前に伝えてください。
【FAQ】テーブルテストにかかる期間と試行回数は
- テーブルテストには一般的にどれくらいの期間がかかり、何回くらい繰り返すものですか?
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商品の難易度や既存レシピのベースがあるかによりますが、通常2週間〜4週間程度です。また、試作回数は平均3〜5回程度繰り返すことでレシピが確定します。
- 試作が前に進みません。認識の齟齬が少なく進めるためにはどうしたらいいですか?
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すり合わせが重要です。コンセプトシートを作り込んでガッチリとガードレールを引いてください。自社で作ったコントロールやベンチマークがあればスムーズに進みます。
- 開発担当にレシピを共有したいのですが、糖質・タンパク質や脂質・塩分などに制限を設けたいです。
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日本食品標準成分表で制限を設ける値の計算してから渡すと自分が作ったレシピとギャップが少なくなります。
食品工場とのやりとりをスムーズに進める方法
食品OEMを依頼する際に、食品表示法というルールがあります。製造者だけの問題かと思いきや、販売者を表示する必要があり食品表示法の表記ラベルに自社の名前が必ず掲載されます。
販売者は消費者に対する一時対応を行う必要があり、社内で工場の監査や栄養計算の妥当性、計算根拠となる規格書の確認作業が発生します。
マーケティング以外を丸投げしていると食品表示法以外にもサイトの記載や商品の文言説明が、景品表示法(誇大広告)に抵触しており罰則を受けるケースもとても多いです。
ある程度警告や罰則を受ける前提で事業計画を立てるスタートアップも多いですが、一旦立ち止まり専門家に工場監査や規格書のチェックを行ってもらいましょう。
食品開発でお悩みであれば下記のリンクをご参照ください。
食品におけるテーブルテストのまとめ
食品開発の最初の一歩であるテーブルテストは試作を通じて、商品の思いを形にする工程です。官能評価や物性テストを通じて、細かい配合割合を調整していきます。
ベースの有無で食品別に目安となる時間はブレますが、1〜2ヶ月程度で形になるケースがほとんどです。また食品表示や製造工程のメーカーに丸投げするのではなく、消費者の不利益にならないように必ずチェックするように心がけてください。

